第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
「……ここか?」
ディーノが眉をひそめて見上げた看板には、きらびやかな装飾が施されている。
そこは、夜の帳が下りる頃に開店する、いわゆる「夜の店」——高級クラブやバーが入るビルだった。
「ボス……あのお嬢さん、あんな場所で働いているんですか?」
後ろに控えるロマーリオが、困惑したように声を漏らす。
「まさか。……いや、でも、秘密だって言ってたしな……」
🌸が慣れた様子で従業員用の入り口に吸い込まれていくのを見て、ディーノの顔から血の気が引いていった。
昨日の、あの聖母のような微笑み。
自分の手を優しく拭いてくれた、あの温かくて柔らかい手。
「……まさか、そんな。もし悪い男に騙されてるんだとしたら……。ロマーリオ、行くぞ!」
「落ち着いてください、ボス。まずは中を確かめてからだ」
ロマーリオに窘められながらも、ディーノの心臓は激しく警鐘を鳴らしていた。
イタリアの跳ね馬は、まだ見ぬ「夜の顔」を持つ🌸を想像して、不安と焦燥に駆られながら、その店の重厚な扉を押し開けるのだった。
重厚な扉の向こう側は、外の喧騒が嘘のような別世界だった。
きらびやかなシャンデリアが輝き、香水の匂いが立ち込める高級クラブ。
着飾ったドレス姿の女性たちが華やかに迎えてくれたが、その中にディーノが探してい🌸の姿はなかった。
「……ボス、ここはお嬢さんには少し、不釣り合いな気がしますが」
「ああ。だが、確かにここに入っていくのを見たんだ」
ディーノはロマーリオを背後に従え、鋭い眼光を放ちながら店員に🌸の特徴を伝えた。
「ああ、その子なら今、他のお客様のお席についておりますが……」
「そうか。悪いが、空き次第、俺の席に呼んでくれ。……それから、彼女がいる席の近くに案内してもらえるか」