第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
呼び止める間もなく、彼女はひらひらと手を振りながら、軽やかな足取りで店を出て行ってしまった。
「秘密……。そう言われると、余計に気になるんだけどな」
隠そうとした時の🌸の瞳が、少しだけ悲しげに光ったのを思い出し、ディーノはもう一度、熱いコーヒーで舌を焼きそうになるのだった。
翌日の大学。
講義の合間に🌸への追及が始まっていた。
「ちょっと🌸! 昨日のあの人、結局どうなったの? どこまで行ったのよ!」
「もう、やめてよ。ただのお礼にお茶しただけだってば」
身を乗り出す友人たちに、🌸は顔を赤くして弁明した。
「あんなイケメン、ただの知り合いで終わらせるなんてもったいないって。絶対狙ってるって、あの目!」
「本当に違うの。ちょっとドジな……放っておけない感じの人なだけだから」
そんな彼女の苦労も露知らず、当のディーノはといえば、並盛の街角で悶々としていた。
「……やっぱり、気になる。あんなに可愛い子が、何のバイトをしてるんだ?」
今日も今日とて彼女をお茶に誘ったのだが、「バイトが遅くまであるので」と、申し訳なさそうなメッセージとともに断られてしまった。
結局、心配と好奇心に勝てなかったディーノは、大学から出てきた🌸をこっそり尾行することにした。
今の彼には「跳ね馬」を支える右腕、ロマーリオがついている。
部下がそばにいる今のディーノは、昨日のへなちょこぶりが嘘のように、軽やかな足取りで壁際を移動していく。
やがて、🌸が足を止めたのは、昼間の賑やかさとは無縁の、少し大人びたネオンが灯る一角だったーー。