第2章 トリュフと秘密の寄り道 【ハイキュー!! 北信介】
2月の冷え込みが厳しい放課後。
体育館の重い扉を開けると、そこには1ヶ月前と変わらない、けれど新主将を中心に少しだけ新しくなった熱気が渦巻いていた。
「あ! 🌸さんに北さんや!」
最初に気づいたのは、相変わらず鼻の利く侑だった。
練習の合間、給水に集まっていたメンバーが一斉にこちらを振り返る。
「お疲れ様。みんな、新体制頑張っとるみたいやね」
🌸が手にした大きな紙袋を揺らすと、侑が真っ先に、文字通り飛んできた。
「🌸さーん! 俺、今日がバレンタインや信じて待っとりましたわ! 自分のために焼いてきてくれたんですよね!?」
「ちょっとツム、騒がしい。……🌸さん、お久しぶりです」
治が侑を突き飛ばして割り込む。
その目はすでに、紙袋の中身を鋭く捉えていた。
「今日はみんなにクッキー焼いてきたよ。はい、これ侑くんと治くんの分」
「っしゃああ! 🌸さんの手作り! 治、お前は1枚でええぞ、俺が全部食うたるからな!」
「死ねや、誰が渡すか。……ん、これ、うっま。バターの香りがえげつないわ。さすが🌸さんや……」
治が早々に口に放り込むと、侑が血相を変えて食ってかかった。
「自分、味わんと食うなや! 🌸さんの愛がこもっとるんやぞ! ……あ、待て。治、お前のクッキー、なんか俺のより厚くないか?」
「……あ? そうか? 俺のやつの方が、形が整うとる気がするわ。これ、本命の印ちゃうんか」
「はぁ!? 俺のなんか、これ、ちょっとハートっぽいやんけ! ほら、こっちが絶対本命や! 🌸さん、そうですよね!?」