第8章 一日遅れのショコラと、プロポーズ【 REBORN ディーノ】
翌日の午後、大学の正門前は異様な熱気に包まれていた。
長身で金髪の端正な顔立ちの男がポツンと立っていれば、目立たないはずがない。
授業を終えて出てきた女子学生たちがディーノを囲んでいた。
「あ、あの……モデルさんですか?」
「握手してください!」
「いや、俺はただの通りすがりの……おっと、わわっ?!」
部下がいないせいで、何もないところで足を滑らせそうになり、ディーノは情けなくおたおたしている。
そこへ、友人たちと談笑しながら門をくぐった🌸が通りかかった。
「……ディーノさん?」
「あ、🌸! やっと来た!」
救世主を見つけたディーノの顔がパッと輝く。
彼は群がる女の子たちに「ごめん、待ち合わせなんだ!」と平謝りしながら、一目散に🌸のもとへ駆け寄った。
「ええっ、🌸! 知り合い!? 超イケメンじゃない!」
「モデルか何か!? 」
友人たちが色めき立つ。
🌸は顔を赤くして手を振った。
「ち、違うから! ちょっとした知り合いで……そんなんじゃないから!」
「そんなことない!俺にとっては恩人なんだから」
ディーノが爽やかな笑顔を振りまくものだから、友人たちの黄色い悲鳴はさらに大きくなる。
🌸はいたたまれなくなり、ディーノの腕を引いてその場を後にした。
並木道のカフェに落ち着くと、ディーノはようやく安堵の息をついた。
「悪かったな、騒がせちゃって。……これ、昨日のタオルと傘の代わり。使ってくれるかな」
差し出されたのは、センスの良いリボンがかかった小さな紙袋だった。
中には、昨日のものよりずっと質の良さそうな高級感のあるタオルと、洗練されたデザインの折りたたみ傘が入っていた。
「えっ……こんなにいいもの、受け取れません! 私はただ、予備のお古を貸しただけですから」
「そう言わずに受け取ってくれ。昨日のケーキのお礼も兼ねてるんだ。今日のコーヒー代も俺に持たせてほしい」
🌸がなおも「でも……」と遠慮がちに首を振ると、ディーノは困ったように眉を下げ肩をすくめた。