第7章 【名探偵コナン✖︎呪術廻戦】
「ま、いっか。今はそれどころじゃないしね。……ありがと、予知夢のお姉さん。君のおかげで、僕の『青い春』を汚されずに済みそうだ」
そう言うと、五条はテーブルの上の伝票をひょいとつまみ上げた。
「ここは僕の奢り。じゃあ、僕は先に行くよ。忙しくなるからね」
「ああ。……」
五条はひらりと手を振って、風のように店を出て行った。
嵐が去ったような静寂の中、🌸はようやく肺の空気をすべて吐き出すように深く息をついた。
「……はぁぁぁ……死ぬかと思った……」
「お疲れ様。あいつと話すと疲れるでしょ」
残っていた家入が、おかしそうに笑いながら煙草に火をつけようとして……ここが禁煙席であることを思い出したのか、苦笑いして火を引っ込めた。
「あ、いえ……。家入さんこそ、急に巻き込んで……すみませんでした」
「いいよ。夏油の遺体の件、私もずっと喉に刺さった棘みたいに気になってたから。……あんたが教えてくれなきゃ、取り返しのつかないことになってた」
家入はそう言うと、スマートフォンの画面をこちらに向けた。
「これ、私の番号。何かあったら連絡しなよ。五条に言えないことでも、私なら聞けるかもしれないし」
「えっ、家入さんと……!? あ、ありがとうございます!」
まさかの推しの一人との連絡先交換。
震える指で操作を終えると、家入は「じゃあね」と短く言い残し、コートのポケットに手を突っ込んで店を後にした。
一人残された🌸は、冷めきった紅茶を一口飲む。
(……これで、呪術界の方は少しはマシになるはず。でも……)
カレンダーを見つめる。十月三十一日。
この日が最悪なのは、呪術界だけではない。
(『ハロウィンの花嫁』……。安室さんが首輪爆弾をつけられて、爆破予告に揺れるあの日だ。……五条さんに動いてもらったんだから、こっちは私がなんとかしなきゃ)
最推しである安室が、絶望に染まる姿なんて見たくない。
🌸はバッグを強く握りしめ、席を立った。
「……安室さん……」
事件に巻き込まれたくないと言いながら、🌸は自ら、更なる激動の渦中へと足を踏み入れようとしていた。