第7章 【名探偵コナン✖︎呪術廻戦】
「……冗談だろ」
東京都立呪術高等専門学校の医務室で、家入は煙草を指に挟んだまま、珍しく呆然とした声を漏らした。
五条が「念のために」と調べさせた夏油傑の墓。
それは何者かによってすり替えられていた。
「傑じゃない。……あのお姉さんの言った通りだ」
五条は目隠しを外し、白髪を乱暴にかき上げた。
六眼に映る現実は、一人の「一般人」が口にした荒唐無稽な予言と完全に一致していた。
「五条、その女の人……何者なんだ? 予知夢なんてレベルじゃないだろ」
「さあね。でも、彼女は明らかに『これから起きる地獄』を恐れてたよ。……よし、明日もう一度詳しく聞かせてもらおうか」
翌日の米花町の喧騒から離れた、路地裏の奥。
🌸は震える手で、指定した隠れ家カフェの扉を開けた。
(なんで……なんでこうなるの……っ)
店内の一番奥に逆光の中に座る二人の男女。
一人は見覚えのある最強の男、五条。
そしてもう一人は、目の下に深い隈を湛えた気怠げな美女、家入。
「……お、お待たせしました……」
🌸が蚊の鳴くような声で挨拶すると、五条がひらりと手を上げた。
「やあ。急に呼び出して悪かったね。……あ、逃げなくていいよ。今日は硝子も連れてきた。君の話、裏が取れちゃったからさ」
「裏……?」
「夏油の墓、遺体がすり替えられてたよ」
家入が短くなった煙草を灰皿に押し付けながら、🌸をじろりと見た。
その視線は、まるで解剖台の上の検体を眺めるかのように鋭い。
「……あんた、何を知ってる。獄門疆、羂索、そして十月三十一日の渋谷。出し惜しみなしで話してくれない?」
🌸は冷や汗を拭いながら、二人の前の席に座った。
心臓の音がうるさくて、注文した紅茶の味なんて全くしない。
「……信じてもらえるかは分かりませんが、知っていることは全部言います。……まず、当日は渋谷ヒカリエを中心に大規模な『帳』が降ろされます。一般人が閉じ込められ、あなたの名前を叫ぶ。それがあなたをおびき出す罠です」
五条は頬杖をつきながら、🌸の言葉を一言一句聞き漏らさぬよう注視している。