第7章 【名探偵コナン✖︎呪術廻戦】
一方、ポアロの店内。
五条が戻ってくると、虎杖が頬を膨らませてカツサンドを飲み込んでいた。
「おかえりなさい、五条先生! さっきのお姉さん、知り合いだったん?」
「んー? ちょっとね。それより君たち、悪いけど追加の注文はナシね。急用ができちゃった」
五条はテーブルに置かれた伝票を手に取り、レジへ向かうと、安室は鋭い視線を投げかけながらも、淀みのない動作で会計を済ませた。
「……お連れ様は、もう帰られたようですが」
「あはは、彼女、ちょっとシャイだからさ。じゃ、お兄さん。コーヒーとケーキ、最高だったよ。また来るね」
五条は安室にウィンクを投げると店を出ようとする。
「ちょっと、先生! まだパフェ食べてないんだけど!」
「……本当に、自分勝手な人だ」
不満げな生徒たちを店に残し、五条は空を見上げる。
その瞳には、先ほどまでの冗談めかした色は一切なかった。
「悪いけど、三人は適当に帰って。僕は今から急ぎ高専に戻るから」
「えっ、一緒に帰るんじゃないんすか?」
「野暮用。硝子に確認しなきゃいけないことができてさ」
五条はそれだけ言うと外に出て術式を使って一瞬でその場から姿を消した。
「……あいつ、絶対何か隠してるわね」
「……だな。でも、あの人の『急用』って、大抵ろくなことじゃない」
残された三人は溜息をつき、夕闇に包まれ始めた米花町の背景を背に目の前の料理を堪能する。
その様子をコナンと安室がじっと見つめていた。
「……安室さん。あのお兄さんとお姉さん、何の話をしてたと思う?」
「さあね。だが、あの女性の怯え方は尋常じゃなかった。……まるで、この世界の終わりのような顔だったよ」
米花町の平和な夕暮れ。
しかし、その裏側では、最悪のハロウィンへ向けた歯車が、一人の「転生者」の言葉によって少しずつ狂い始めていた。