第7章 【名探偵コナン✖︎呪術廻戦】
「ごちそうさまでしたっ!」
コナンが店に足を踏み入れた瞬間、🌸は即座にサンドイッチを口に押し込み、コーヒーで流し込んで伝票を掴んだ。
推しは拝みたいが、命はもっと惜しい。
バッグも掴みここまでは完璧な退避シミュレーション通りだった。
「あれれー? お姉さん、ボクが来るといつもすぐ帰っちゃうよね」
🌸の心臓が跳ね上がった。
聞き慣れた、しかし今は恐怖でしかない子供特有のハイトーンボイス。
声の方を見ると眼鏡の奥の瞳が好奇心に満ち満ちて🌸を見つめている。
「あ、あはは……。ちょっと、急用を思い出しちゃって……」
「ふーん。でも、ボクずっとお姉さんとお話してみたかったんだ! ほら、安室さんもお姉さんのこと気にしてたよ?」
コナンくんは、🌸の返事も待たずにトテトテと隣にやってくると、ソファ席の出口側に当たり前のように腰を下ろした。
(……詰んだ。退路を断たれた……!)
「コナンくん、あまりお客様を困らせちゃダメだよ」
カウンターから安室が苦笑しながら近づいてくる。
(助けて、安室さん。…あなたのそのトリプルフェイスで、この死神くんをどこかへ連れて行って。)
「だって、お姉さんいつもボクのこと避けてるみたいなんだもん。ねえ、ボクのこと嫌い?」
「き、嫌いなわけないじゃない! 大好き……というか、尊敬してるというか、近寄り難いというか……」
冷や汗が止まらない。
目の前には安室透、横には江戸川コナン。
この狭いボックス席の密度、物理的にも情報量的にも致死量だ。
「へぇー、尊敬かぁ。お姉さん、何者なの?」
コナンくんの目がキラリと光り、探偵のスイッチが入った。
まずい、このままでは根掘り葉掘り聞かれて、前世の記憶まで暴き出されるーー。
そう絶望した瞬間だった。
カランカラン、と軽快なドアの音が響く。
「……え」
🌸は言葉を失った。
店に入ってきたのは、この米花町でも浮きまくるであろう長身の男。
白髪、そして何より特徴的なのは、その目を完全に覆い隠している黒いアイマスクの男ーー。