第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
髪をぐちゃぐちゃに乱した🌸が、息を切らしながら満面の笑みで頷く。
「……うん、最高! カメラ持ってないユ◯バって、身軽で楽ちん!」
その笑顔を見た瞬間、侑は年パスの代金なんて安いものだと思った。
夕闇に包まれ、ライトアップが始まったパーク。
ゾンビも治安部隊もいないけれど、目の前にいる「最高の被写体」は、どんなレンズを通すよりも鮮やかに、侑の瞳に焼き付いていた。
「……自分、これ着けろ。絶対似合うから」
そう言って侑が差し出したのは、パークで大人気のキャラクターがちょこんと乗ったカチューシャだった。
「えっ、侑くんもお揃いで着けるん?」と驚く🌸を無視して、自分も同じものを頭に乗せる。
「せっかく来たんやから、形から入らな損やろ。ほら、撮るぞ」
スマホを掲げ、少し照れながらも距離を詰めて自撮りをする。
画面の中の二人は、どこからどう見ても楽しそうな「カップル」そのものだった。
さらに侑は期間限定の、ピンク色のシュガーがまぶされたチュロスを買い込み、「今日は俺が全部出すって決めてんねん」と強引に手渡した。
「……ふぅ、よー遊んだな」
夜、二人は喧騒を避けるように、ラグーンの夜景が一望できるベンチに腰を下ろした。
心地よい疲労感の中、水面に反射するネオンがゆらゆらと揺れている。
「侑くん、今日はありがとう。チュロスも美味しかったし、ほんまに楽しかった」
「……まだ終わりやないで」