第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
「……自分、いつの間にこんなん撮ってたんや」
侑が呆れながらも、その写真を愛おしそうに見つめる。
「言ったやろ? 止まってても動いてても、良い瞬間は全部『収穫』するんよ私」
悪戯っぽく笑う🌸。
その瞳は、カメラを持っていない今でも、何か面白いものを探しているようにキラキラと輝いていた。
「……まぁ、ええわ。今度は自分を撮らせてやるって約束、忘れんなよ」
「はいはい。ブルー◯ーズよりかっこよく決めてくれたらね?」
「……自分、ほんま生意気やわ。……なぁ、また今度行く時も案内してくれや」
侑が少し照れくさそうに言うと、治たちも「次はあのアトラクション乗りたいわ」「俺、あの限定フード食い損ねたし」と口々に賛成した。
「ええよ! ただし、ウチの『推し』のシフト優先やからね!」
そう言って笑う彼女に、四人は顔を見合わせて「やっぱり勝てんな」と笑い合うのだった。
「……なんやねん、追い込みって。ゾンビはもう十分撮ったやろ!」
春高予選が始まる直前の部活の休憩中、スマホを睨みつけながら侑が吠えた。画面には🌸からの「ごめん!秋のパークはこれからが真のクライマックスやねん。追い込みかけるから、予選は無理!」という非情なメッセージ。
「ツム、往生際が悪いぞ。あいつはそういう生き物やって分かったやろ」
治がスポドリを飲みながら、冷めた視線を向ける。
「せやけど! 予選やぞ? 負けたら終わりの真剣勝負やぞ! それよりゾンビのダンスの方が大事なんか……っ!」
「あー、また始まった。侑の『俺を見て』病」
角名がスマホで侑の不貞腐れた顔を撮りながら、淡々と言う。
「うるさいわ! 自分もあの時一緒になって踊っとったやろが!」
侑が地団駄を踏んでいると、再びスマホが震えた。
🌸からの追加のメッセージだった。
『でも、予選は通過するんやろ? 稲荷崎が負けるわけないし。全国(春高)決まったら、その時は絶対撮りに行くよ。センターコートで一番男前の侑くん、収穫させてな!』
「……っ!!」
それまで地面に突き刺さりそうだった侑の口角が、一瞬で跳ね上がった。