第5章 その一瞬を切りとる君 【ハイキュー!! 宮侑】
平日の夜、心地よい夜風に吹かれながら、五人はパークのゲートをくぐった。
プロの「オタク」による完璧な案内。
最初は不審者同然の尾行から始まった一日だったが、気づけば四人は、一生忘れられないほど充実した時間を過ごしていた。
「……あー、疲れた。けど、なんか変な達成感あるわ」
「せやな。あんなに歩いたん、合宿以来ちゃうか……」
侑と治がそんなことを言い合いながら、駅のホームで別れを告げる。
「🌸、今日は案内おおきにな。……自分、ほんまに凄いわ」
「あはは、楽しんでもらえたなら何より! ほな、また学校でね!」
身軽な足取りで夜の闇に消えていく彼女を見送りながら、四人は心地よい疲労を抱えて帰路についた。
翌日。
稲荷崎高校の廊下には、いつもの喧騒が戻っていた……はずだった。
「……アカン、あの曲が頭から離れへん」
「……俺も。さっきからずっとサビがループしてる」
部室で着替えている最中、銀島と治がボソリと零す。
角名にいたっては、無意識にスマホで昨日のショーの動画を検索していた。
そして侑はといえば。
「ツム、お前鏡の前で何しとんねん。サイドステップにキレが出すぎやろ」
「……サム、体が勝手に動くんや。あのゾンビのステップ、意外とバレーの重心移動に使える気がしてきて……」
「絶対嘘や。ただ踊りたいだけやろ」
そんな四人がお昼に食堂で昼飯を食べていると、不意に聞き覚えのある声が響いた。
「 昨日はお疲れさんやったね!」
ひょいと現れたのは、お菓子を片手に持った🌸だった。
彼女はスマホを操作すると、昨日作ったグループチャットに次々とデータを放り込んでいく。
「これ、昨日の写真! ……データ整理終わったから送るわ」
「お、サンキュー。……って、うわっ! なにこれ!」
銀島が声を上げた。
そこに映っていたのは、色々な場面を切り抜いた昨日の写真だった。
「ひゃはは! サム、この顔! チュロスの袋握りしめたまま半泣きやんけ!」
「お前こそ、角名の後ろで目ぇひん剥いどるやんけツム! 酷い顔やな!」
他にも、ゾンビに囲まれて腰が引けている瞬間の写真や、メインステージで必死に踊っている侑の、少しぶれたけれど最高に楽しそうな笑顔。