第10章 闇堕ち
次の日の試合前。
「決勝は明洸中らしいっすね」
「ふーん。まぁ、どこでも一緒じゃん」
その軽さに、胸がざわつく。
すると、テツくんが一歩前に出た。
「監督。次の試合、スタートから出してもらえませんか?」
一瞬、空気が止まった。
「なんか急にやる気じゃないっすか」
「どうしたのだよ、黒子」
そのまま、試合開始。
帝光中は、当然のようにリードしていた。
――その時。
テツくんと、相手選手が激しくぶつかった。
「……っ!」
すぐに医務室へ運ばれる。
胸が、嫌な音を立てた。
しばらくして、征くんが戻ってきた。
「赤司。黒子は?」
「大丈夫だ。大事には至らない」
「この試合には?」
「出られない」
「そっすか」
……それだけ?
「とりあえず優勝して、あとで報告行けばいーんじゃない?」
「ああ、そうだな」
軽い。
あまりにも、軽すぎる。
その瞬間、私は口を開いてしまった。
「……待って」
全員がこちらを見る。
「そんな簡単に“優勝”って言わないで。みんなが強いのは分かる。でも――大会だよ? 遊びじゃない」
「雫は黙っていろ」
せいくんの冷たい声。
「ところで、さっきは何の話をしていたんだい?」
……この人。
私は、唇を噛みしめた。
「誰が一番点取れるか競うのも、そろそろ飽きてきたからな」
「めんどくさいだろ」
「だから面白いんじゃないっすか!」
「くだらん。勝手にするのだよ」
「ちょっと!私は反対だって言ってるでしょ!大会なんだよ!? 真面目に――」
「……聞かせてくれないか」
征くんの声。
その一言で、何かが、完全に切れた。
私は、その場から走り出した。