• テキストサイズ

青い人

第13章 決意


帝光中学が壊れてから、学校はただの通過点みたいな場所になった。

同じクラスに、黒子テツヤがいた。

特別話すことはなかった。
お互い、必要以上に関わらないまま、時間だけが流れていた。

ある日の昼休み。
雫が席に戻ると、隣の机の上に資料が置かれていた。

高校のパンフレットだった。

たぶん、テツくんのものだ。

ページが少し開いたままで、バスケットボール部の特集が見えた。

雫は、無意識に視線を落とした。

そこに、見覚えのある名前があった。

誠凛高校。

胸の奥が、小さく揺れた。

思い出したのは、帝光の試合のあとに偶然立ち寄った高校の体育館。

全員一年生で、技術も完璧じゃないのに、必死に声を出して、転びながら走って、笑いながらバスケをしていたチーム。

勝つためじゃなく、誰かを置いていくためでもなく、「一緒にやる」ためのバスケ。

あの空気だけが、なぜかずっと心に残っていた。

雫は、もう一度パンフレットを見た。

帝光には戻れない。
あの場所は、もう終わってしまった。

でも、バスケそのものを嫌いになったわけじゃない。

ただ、ああいう場所でやりたかっただけだ。

雫は、そっと資料を閉じた。

誰に言うでもなく、心の中で決めた。

壊れた場所に戻るんじゃない。
違う場所で、新しく始める。

誠凛高校。

あの日、楽しそうにバスケをしていた場所。

雫は、そこに行く決意を固めた。
/ 64ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp