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青い人

第10章 闇堕ち


青峰side

雫に冷たくした理由?

嫌われたかったからだ。

嫌われれば、離れてくれると思った。

俺のそばにいたら、雫まで壊れる。

それが、分かってたから。

優しく別れるなんて、俺にはできなかった。

ちゃんと話して、理由を説明して、「ごめん」って言ったら。

雫は、きっと分かろうとする。

寄り添って、手を伸ばしてくる。

そんなの、耐えられるわけがなかった。

だから俺は、一番卑怯な方法を選んだ。

わざと冷たくした。
わざと素っ気なくした。
わざと傷つく言い方をした。
わざと酷いセックスをした。

名前を呼ばなくなったのも、目を合わせなくなったのも、全部、分かってやった。

雫が、「もう無理」って思うまで。

俺を、嫌いになるまで。

それが、一番確実だったから。

酷いことも言った。

「今のお前、邪魔なんだよ」

本心じゃねぇ。
分かってる。

でも、一番刺さる言葉を選んだ。

雫の顔が歪んだ瞬間、胸が締めつけられた。

それでも、止めなかった。

止めたら、全部台無しになるから。

「俺のこと、もうどうでもいいだろ」

勢いで吐き出した言葉だった。

でも、雫の目から光が消えたのを見て、俺は確信した。

……あぁ、これで嫌われる。

同時に、自分がどれだけ最低かもはっきり分かった。

好きなやつを守るために、好きなやつを壊す。

そんなやり方しか思いつかねぇ自分が、心底、嫌だった。

それでも――俺は、それを選んだ。

雫に憎まれる役を、俺が引き受けた。

「俺が悪者になればいい」

そう思わなきゃ、耐えられなかった。

別れを告げられた時、胸が潰れそうになった。

それでも、受け入れた。

嫌われるためにやってきたことが、全部、成功したからだ。

……なのに。

夜になると、雫の声が蘇る。

優しかった声。
怒った声。
心配そうな声。

嫌われたはずなのに、頭から離れねぇ。

結局、俺は何一つうまくやれてなかった。

雫を守れなかった。
自分も守れなかった。

それでも――

嫌われることでしか、手を離すことができなかった。

だから俺は、今でも思ってる。

もし、雫が俺を嫌い続けてくれるなら。

それはそれで、いい。

……でも。

もし、どこかでまだ俺のことを覚えてるなら。

それだけで、俺は一生、バスケから逃げられねぇんだろうな。
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