第8章 5月
次の日。
私たちは、いつも通り練習をしていた。
その時、コートの反対側から二人の怒号が響いてくる。
「なぜそんな所に突っ立っているのだよ!今のはお前がスクリーンをかければ、俺が完全にフリーだっただろう!」
「はぁ〜?んなめんどくさいことやんなくてもみどちんがこっいにパスくれりゃいいじゃん!」
ぐぅぅ……。
完全に険悪モードだ。
[俺が決めた方がいい!(のだよ!)]
……これはさすがに、止めないとダメじゃないかな?
「2人とも!さすがに喧嘩はダメだよ!」
「だ〜か〜ら〜!」
「ダラダラ喋るな!」
「だから2人とも落ち着いて!」
どうにも収拾がつかず、私が手を焼いていると、テツくんが静かにこちらへ歩いてきた。
「もうやだ〜」
「俺だって嫌なのだよ!」
「喧嘩はやめてください!今の2人なら僕でも勝てますよ」
[ぬう…!]
二人が一斉にテツくんを見る。
目がギラギラしていて、正直ちょっと怖い。
「練習の終わった後で勝負してくれれば証明してみせます。」
体育館の空気が、一段、張り詰めた。
これはただの喧嘩じゃない。
もう、誰が正しいかじゃなく、誰が上かを決める話になっている。
帝光が、少しずつ音を立てて、ズレ始めている。
そう、はっきり分かる瞬間だった。