第8章 5月
帰り道。
「いや〜、ビックリしたね〜」
「すげーのは知ってたけどまさかもうキャプテンとはな〜、雫はなんかこうなること予想してたよな、多分。」
大輝にそう言われて、私は小さく息をついた。
「うん、いつかはね、でも今回はさすがに早すぎだと思うな。」
「まだ2年生なのに大丈夫なんでしょうか?」
「恐らく心配はないのだよ。」
「うん、私もそう思う。」
「ん?」
「赤司は日本有数の名家の子だ。」
「マジっすか!?」
「その跡を継ぐため家は厳しく、あらゆる英才教育をほどこされている。だからなどと言うつもりはないが」
信号が赤に変わり、全員が足を止めた。
「虹村キャプテンかそれ以上にチームをまとめる力はあるのだよ。」
「へー、ってか緑間っちも結構育ちよさそうっすよね、実は。」
「赤司や茶郷程ではないのだよ。」
「え、茶郷っちも育ちいいの!?」
「俺も雫にそんな話聞いた事ねぇぞ。」
そう言いながら、大輝が自然に私を抱き寄せてくる。
なんでそういうのばらすかな〜。
まぁ、いいけど。
「私だってせいくん程ではないよ。せいくんが赤司家の御曹司って聞いた時はびっくりしたんだから。」
「そうなのか。」
あっくんは相変わらず興味なさそうにお菓子を口に運んでいる。
それに気づいたしんくんが、すぐさま噛みついた。
「それより紫原、歩きながら食べるのはやめろ。」
「えー、やだー。」
「おい!」
……目が怖いよ、御二方。
「ちょーっと!」
りょうくんが、手を繋いでいる私たちを見ながら声をかけてきた。
「ん?」
「あの二人って仲悪かったんすか?」
「あー、悪いってほどじゃねーけど、緑間は何事もきっちりしねーと気がすまねータイプだし、紫原は色々ルーズなやつだから、元からあんま気は合ってなかったんだけど、最近特にな。」
「最近雰囲気最悪だよね。」
「あー、じゃ原因はあれっすかね。」
信号が変わり、再び歩き出す。
「最近あの二人バスケの調子がすげーいいからっすか?」