第2章 痛みの始まり
どうせ、私も利用する側だし…と思いながら、使用人の女性についていく。
あの人の子供を産んだら、対応は変わるだろう。
それまでの辛抱だ。
とある部屋に通されて朝の挨拶をし、座布団の上に座った。
婚約者とその両親…朝食を一緒に食べるのだろう。
焼いた魚の香りと味噌汁の湯気が、目の前に立ち込める。
手を合わせる3人を見て、私もすぐに同じことをする。
家よりも少し豪華な朝食を頂いた。
「葉月ちゃんだっけ?
このまま僕の家に行くよ」
食べ終わると婚約者に腰を抱えられた。
だっけ?ってなに?
婚約者の名前もちゃんと覚えてないの?
ご両親は溜め息をついていた。
「あの…今すぐですか?」
「はぁ…当たり前じゃん。
僕、忙しいんだよ」
謝りながら準備をする為に婚約者の腕から抜けようとする。
でもそのまま太腿を撫でられて、反射的に膝を閉じた。
こんなところで何を…すぐにその手は離れて、今度はカーディガンのポケットを撫でる。
スマホや財布等があるか確認しているのだろうか。
もしかして…ワンピースにポケットがついていると思っていたのだろうか。
自分で選んだ服のくせに…。
ポケット等、なかった。
そのまま引き摺られるように部屋を出た。