第2章 痛みの始まり
「あの…今朝はありがとうございました」
寝ていた部屋に戻ってきて、私の鞄を持った婚約者の目を見る。
いや…黒い布を。
昨日はちゃんとした席だから外していたのかな。
目隠しをした状態なのに見えていることに、私は興味津々だった。
「ん?あぁ…別にお礼とかいいよ。
敬語とかもさ、どうせ結婚するんだし、いらなくない?
いらないよね」
柔らかい話し方なのに、威圧感がある。
それに圧されて頷くと、口角が上がった。
「そうやって従順でいれば、雑には扱わないからさ……
いい子でいてね」
「うん」
腕を引かれてご両親に挨拶をし、門の前に止まっていた高級車に乗った。
シートベルトをつけると婚約者は頬杖をついて、窓の外を眺めていた。