第5章 触れた過去の余韻
「ねぇ、葉月の服は?」
五条家に着くなり悟さんは、私の服を催促する。
恐らく、電話の時に用意を頼んでいたのだろう。
大きな黒い上着に身を包んでいると、悟さんに抱き締められているような感覚がして、ずっとドキドキしていた。
使用人が「こちらに」と案内してくれるので、後をついていった。
部屋に入ると、色んな服が並んでいて、何故こんなにあるのかと首を傾げる。
そうしていると悟さんは迷いなく服を持ってきて、使用人を部屋から出した。
「これにしようか」
「なんでこんなに…?」
「……僕が集めさせた物だよ。
会う前にね。
君の顔は写真で知ってたから」
なんで私に?
よくわからなかったけど、それ以上は聞かずに、服を脱がされていく。
白いブラウスに淡いピンクのひらひらとしたロングスカートを、私の身に纏わせていった。
髪を撫でて微笑む。
「うん。可愛いよ」
「ぁ…うん……」
可愛いなんて、十六夜家で散々言われてきたのに、悟さんに言われるとどうしてこんなに、喉が詰まるほど脈を速めてしまうんだろう。
"服"が可愛いと言ったのだと、必死に思い込んだ。