第8章 あなたの元に…
あれから月日が流れ、私はひとりで20歳の誕生日を迎えようとしていた。
前日に迫った今日、あの硝子さんに呼ばれて、呪術高専へ行く。
研究室のような場所に連れて来られ、硝子さんは何かのタンクに手をついた。
「この中に五条の精子が入ってる。
あなたを生かす為に五条は、保険をかけていたんだ」
悟さん、そんなことまで……涙はとうに枯れた。
わけでもなかった。
しんしんと溢れていく涙は、床にぽつぽつと落ちていく。
「……要りません。
悟さんが私の為にしてくれたということは、痛いほどわかります。
でも私は――悟さんから欲しかったんです。
だから、私は悟さんに会いに行きますね」
「そうか、わかった。
――五条の隣りにいる、もうひとりのクズに伝えてくれないか?
"もう戻ってくるな"って」
「はい、必ず。
硝子さん、ありがとうございました。
悟さんの精子は、処分してください。
誰の手にも渡らないように」
誰かはわからないけど、悟さんに聞けばわかると思った。
家に帰って、いつもと変わらない夜を過ごす。
色んな人にお願いをして、悟さんの家に住まわせてもらっていた。
眠りについて、魂が噛み千切られるような感覚に襲われる。
その痛みの中、最愛のあの人に会えると思うと、次第に頬が緩んだ。
もし、また巡り会えたら――今度こそ…死が分かつその時まで、ずっと一緒に生きようね。
End.