第3章 蒼の侵食
髪を乾かしてから部屋に行き、制服を着た。
前に着ていた制服。ちょっと前まで着ていた制服。
脇腹のファスナーを閉めて、紐のように細いリボンをセーラーカラーに忍び込ませる。
結んでリビングに戻った。
制服の下に紐パン履いてる子ってどのくらいいるのかな…。
ずっと心臓がうるさく高鳴っている。
私はもう、五条悟から離れられない。
自分からお願いしたのだ。
生かして欲しいと…それはこれからも一緒にいることと同義だった。
私は――五条悟の所有物。
みんなは誰かの所有物になったらどう思うんだろう。
私は今は…五条悟の所有物であることが、"生きる"ことで、"幸福"だった。
「悟さん……すき」
「ありがとう」
「っ!……え、いつの間に…」
上半身裸の悟さんがタオルで髪を拭きながら近付いてくる。
リビングの扉を開けたことにすら、気付かなかった。
"ありがとう"、か……僕も――と返される日は、きっと来ない。
それでもいいと、受け取ってくれるだけでいいからと…ソファの上に立って、悟さんの首に掛かったタオルを引き寄せた。