第3章 蒼の侵食
ホームに入ってきた電車を見てのそりと立ち上がり、ボーッとしたまま車内に入る。
言っちゃった。
どうしたらいいかわからなくて、頭の中は真っ白だった。
なんで好きになっちゃったの、私。
どうせ、この関係は変わらないのに…離れることも、近付くことも出来ないのに、どうして…。
そうだ、20歳まで…20歳まで私が別のところにいればいいんだ。
誕生日に抱いてもらって、それで……いいや。
もういい。
このまま悟さんとセックスをせずに、死んでしまおう。
「…ちゃん。葉月ちゃん!
大丈夫?聞こえてる?」
「あ…うん。
送迎は…大丈夫。ありがとう」
つり革にも掴まらず、ただボーッと立っている私の肩を抱いて支えてくれる悟さん。
ずるいよ…なんでそんなに好きにさせるの?
「……悟さん。
婚約破棄、する?」
「なんで。
葉月ちゃん死んじゃうでしょ、僕としないと。
十六夜家の長女なんだから」
悟さんは自分の子が、私の腹から出てきた子じゃなくても別にいいだろう。
うるさいのは、両家。
―――私がいなくなれば、煩わしいのも静かになるんじゃないかな。
「とりあえず、その話は帰ってからしよ」
窓の外で、線のように流れていく景色を眺めていた。