第3章 蒼の侵食
座りながら両手でレモンティーを掴む。
どうしたのかなと、悟さんの方を向いた。
悟さんはなんだか、優しい顔をしていた。
「もう大丈夫だと思うけど、怖かったら送迎しようか?」
「え?」
どういうこと?なんの話?
まさか…朝一緒に来てくれたのって……助けてくれたの?
朝の電車でのことを思い出す。
悟さんは私に触れて、まるで"これは僕の手だよ"と示すように頬を突き、背中に移動した。
あの時はちょうど、触られた時だった。
そして、悟さんが"婚約指輪"というワードを出したら……なんなのこの人。
もう認めざるを得ないじゃない。
―――私は五条悟が好き。
でも私は道具とか玩具みたいなものだろうし、それに…この人の未来を縛り付けてる。
だから、この気持ちだけは伝えたらいけない。
だって…伝えたら、離れていく気がするの。
でも、そんなのは既に自分で壊していた。
「好き__」
「………そっか。
まあ婚約者だし、いいんじゃない?」
彼のその返答に、胸が痛かった。
私の気持ちを受け入れてくれたわけじゃない。
ただ――受け取っただけ。
レモンティーをぎゅっと握り締めていた。