第3章 蒼の侵食
駅の中の自販機の前で止まった悟さん。
繋いだ手が離されて、少し寂しかった。
「なに飲みたい?
ちょっと話してから電車乗ろうか」
首を傾げながら自販機に目線を移す。
「れ、レモンティー…」
悟さんはレモンティーのパッケージの下にあるボタンを押し、ガゴンッと落ちたペットボトルを取り出す。
差し出してくれたレモンティーを受け取り、悟さんは何を買うのかな?と見つめていた。
押されたボタンは――いちごミルク。
え、可愛い。
甘い物好きなのかな…前もご飯だって言って、パフェを食べていた。
朝食は甘い物にしようと密かに思った。
プシュといういい音が聞こえてそちらを見ると、悟さんが缶を開けた音だった。
仄かに甘いミルクの香りと、いちごの爽やかな香りが混ざったものが漂ってきた。
缶は悟さんの綺麗な唇に引き寄せられて、傾けた後に喉仏が上下する。
普通のことなのに、何故か目が離せなかった。
「えっち……飲みたい?」
「なっ……ううん。
レモンティー、ありがとう」
「どういたしまして」
歩き出した悟さんの後をついていき、椅子を適当に手で払ってパンッパンッと手を叩く。
手が…「どうぞ」と椅子に手を向ける悟さんを見て、クスッと笑みが零れた。