第3章 蒼の侵食
家に帰って、ノートを開く。
"順平くんと会った。優しい人だったな。
翠と友達になった。翠も優しい。
だけど…電車には乗りたくない。"
ただの日記。
ノートを閉じるとスマホがメッセージの受信を報せる。
開いてみると…"今日は帰らない"と婚約者から着ていたので、わかったというスタンプを返信しておく。
制服を脱いで下着のまま浴室に向かう。
ひとりだと色々出来ていいな…。
湯船にゆっくり浸かってから上がり、裸のまま自室へ戻る。
ベビードールのようなネグリジェ。
他は出掛ける用ばかりで、寝る時に着れるような物はない。
「はぁ…えっちなのばっか」
私は道具なのだから仕方ない、と割り切ってネグリジェを着る。
カーディガンを羽織っておこう。
鼻歌を歌いながらご飯を作って、テレビを見ながら食べた。
いつもひとりがいいと思うのに、なんだか寂しかった。
電車でのことを思い出し、あの婚約者ですらここにいて欲しいと思う。
「帰ってきてよ…」
こんな時に思い浮かぶのは母でもなく、父でもなく…五条悟だった。
当たり前だ、ここは五条悟の家なのだから。