第3章 蒼の侵食
順平くんに自分の名前を教えるのを忘れてしまった。
名前を聞く時は、自分から名乗るべきなのに…。
少し後悔しながら学校の校門を潜る。
職員室はどこだろうと、小さな標識を見上げながら歩く。
みんなと違う制服を着た私は異端で、好奇の目が刺さっていた。
知らない場所で知らない人に自分から話しかける勇気等なかった。
誰か話しかけてくれたらいいのに…と受け身な考えをする。
「あの…ど、どうしたの?」
突然、背中から声がして振り向く。
制服が違うことに戸惑っていながらも、声をかけてくれた女子生徒。
「転校してきたんですけど…
今日初めてなので、職員室の場所がわからなくて……」
彼女は快く案内してくれた。
名前は、周 翠(あまね すい)と言うそうだ。
同じ3年生。
職員室まで一緒に来てくれた周さんは、「またね」と帰っていった。
先生と話し教室に行くと…周さんがいた。
同じクラスだったんだ…。
嬉しかった。
帰りは途中まで翠と一緒だった。
名前で呼んで欲しいと言われたので、お互い名前で呼ぶことに…連絡先も交換できた。
翠がいなくなって一駅…また違和感があった。
どうして、帰りまで…。