第2章 痛みの始まり
優しくしてくれたのは、ただ"お返し"をする為だけだった。
やっぱり、優しい人じゃないのかな…。
婚約者が出ていった扉を見つめた。
"おあいこ"ってなに…次からは普通にしてくれるってこと?
……次からってなんだ、してくれるってなんだ。
したいわけじゃないのに…気持ちよかった…。
そのままソファに倒れて、ふわふわする頭を沈ませた。
まだ少し、震えている。
性の知識がないわけじゃないけど、自慰等はしたことがなかった。
それでも、イく感覚は知っていた。
まだ中学生だった頃、身体を見られ、触られた。
怖かったのに、気持ちよくて…今も、その人に会うのは恥ずかしい。
「あれ?
また寝ちゃった?」
顔の目の前でしゃがんだ婚約者と、目が合う。
その勿忘草のような青は、なんだか少し怖い。
綺麗すぎて…全てを見透かされているようで…引き込まれてしまう。
「起きてるね。
ご飯、届くよ」
さっき、この人に触られるのは…あまり怖いと感じなかった。
知らない行為じゃなかったからだろうか。
「……ご飯?」
「うん。出前とったから」
私が準備してなかったから…謝ると、「気にしないで」と微笑んだ。
こんなの、母に知られたら怒られる。
この人の為になんか作りたくないけど、怒られるのは嫌い。
「葉月ちゃん……ちゅーしたい?」
「え?」
ふるふると首を振ると、立ち上がってどこかへ行く。
上、服着てなかった…。
あんなに筋肉あるんだ…肩に触れた時、固くてゴツゴツしていた。
昨日、ちゃんと見てなかったな…。