第2章 痛みの始まり
車が止まり降りると、新幹線のホームに辿り着く。
窓側に座った婚約者は、ずっと外を眺めていた。
抱いた女に興味なさすぎだと思うんだけど…。
でもあれ、"抱いた"って言えるのかな…。
これからあれがずっと続くのだと憂鬱になりながら、遠くなっていく故郷に心を向けていた。
帰りたい…。
新幹線が止まり、立ち上がった婚約者を見て私も立ち上がる。
ホームに降りると手を繋がれた。
「欲しい?」
首を傾げる。
振り向いた婚約者を見ても、目元が隠れていては何も読み取れない。
「婚約指輪」
「あ……いや、いらない。
結婚したら指輪あるし…」
「あっ、そ」
そのままタクシーに乗って辿り着いた場所は…高層マンションだった。
マンションってどんななんだろう。
ずっとお屋敷に住んでいたからわからない。
エレベーターに乗って身体が浮く感覚を気持ち悪く思いながら、扉が開くのを待っていた。
婚約者が住む階につき、部屋の前に来ると、玄関に押し込まれた。
「僕、お仕事〜
好きにしてていいよ
どうせほぼ帰って来ないし」
「あ…いってらっしゃい」
ひとり、閉められた扉を見つめていた。
未来の旦那様に仕える…というより、一人暮らしのハッピーライフかもしれない!
憂鬱だった気分がぱぁっと晴れた。