第2章 性欲か生欲か愛欲か
「あ、アキ…今……」
「あー!!えろいことしてる!
俺もおっぱい揉みたい」
いきなり浴室の扉が開かれ、金髪が揺れた。
どうしてバレたんだろう。
声はキスで塞がれていたし、今はただ…抱き合ってるだけ。
咄嗟に胸を隠すように縮こまる。
アキの身体に隠れて、男の子の存在を感じていた。
「してねぇよ。
早く出ていけ」
私の身体を隠すように抱き竦め、静かに低い声を零した。
心臓は、男の子が入ってきて驚いたのではなく、アキの存在への高鳴りに変わっていた。
もっと距離が縮まるように擦り寄る。
この触れ合いは何を意味しているのだろう。
意味がなければ、私が勝手に誓ったことが無に還る。
「アキ…」
私の恋は、あの白銀の世界に置いてきたはずなのに…
情けない甘えた声でアキの名を呼び、胸の温かさに縋る。
ただアキの温度を感じて目を閉じていると、あの男の子はいなくなったようだった。
顔を上げると、照明の反射で透ける藍色の瞳と、視線が交わる。
アキの熱は冷めていた。
「萎えた。
俺は上がる」
"マキマさん"は霞み、曖昧のまま消えた。
アキの濡れた背中を見つめ、もう聞くことは出来ないと、目を伏せる。
――私の名前を呼んで欲しかった。