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【チェンソーマン】凍てついた幼心〈早川アキ〉

第2章 性欲か生欲か愛欲か


お風呂から上がると、タオルや服を持ったアキがちょうど歩いてきた。
伸びた髪から雫がひと粒落ちる。


「髪…気に入ってるの?」

「似合ってねぇか?」

「ううん、かっこいいよ!
自分が好きな髪型するのが一番だよね〜」


タオルを広げたアキの腕が背中に回り、そのまま柔らかい生地の純白が肩に掛かる。


「だろ?
いつも縛ってんだよ」


得意顔で歯をチラつかせていた。
かっこよくて可愛くて…アキは昔からそうだ。
大人なフリして、たまにおどけて愛想を振り撒く。
きっと私だけ…そう信じてる。

大きな手が頬を包んで、「着ろ」と置かれた服を横目で見た。
アキの…だよね?
あの女の子の物にしては大きく見えた。

そうだ、あの二人はなんなのだろう。
少しの会話でアキと仲が良いのがわかった。
アキの中の私の居場所が取られた気がしていた。
私よりもよっぽど、"家族"なんだろうか…。


「アキ…帰ろ?
アキの帰る場所は……」

「帰るって…どこにだよ。
俺の家は今、ここにある」


鎖骨の近くに冷たい雫が落ちて肩を竦めると、アキの額が肩に乗った。
そのまま頬がタオル越しに肩を滑って、首に唇が触れた。

タオルの端を掴んだ指に力が入る。
チクッと虫に刺されたような痺れが広がる。
だがそれは、とても甘いものだった。

音を立てて肌が吸われる。
鼻から漏れる甘い息が、この行為の官能さを際立たせた。


「アキが帰るまで、私も帰れない」

「は?」


離れた唇から出た息が、僅かに肌を掠めた。


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