第8章 白銀の世界に
家を後にし、旅館に泊まる。
4人で同じ部屋に泊まり、夕食がテーブルに並べられた。
パワーちゃんが食べられないものを私たちの皿に乗せていく。
彼女の皿にはほとんど何も残らなかった。
私の物を分けようとしたが、野菜ばかりでどうしようもなかった。
するとパワーちゃんはデンジくんの腕を噛んだ。
慌てて私は部屋を出た。
たぶん私は知っちゃいけない。
パワーちゃんが何者なのか、デンジくんの胸にあるスターターロープみたいなのはなんなのか。
「結那、食べよう」
襖を開け、アキが私の手を引く。
腕に力を入れて、頑なに動かなかった。
知ってしまったら…アキが苦しむ。
「口移しで食わせるぞ」
「いいよ。
アキなら、嬉しい」
部屋から出て襖を閉めたアキが、私の口に親指を入れた。
舌を撫でて、唇を撫でて濡らす。
「俺が――結那を食べてもいいのか?」
コクッと頷くと唇が触れて、すぐに部屋に戻った。
ご飯を食べて、みんなで笑い合う。
この時間が、あとどれくらい残されているのだろう。