第8章 白銀の世界に
静かに手を合わせるアキを、少し遠くから見つめる。
本当は私も一緒にお参りをしたかったけど、今はひとりにしてあげよう。
雪が積もり始めた墓地の中で、ひとり佇むアキを見つめていると、デンジくんとパワーちゃんが近くにいないことに気付く。
どこに…。
家族との会話を終えたアキが、「あいつらは?」と尋ねてくる。
しっかり見ていることが出来なかった気まずさに目を泳がせる。
辺りを見渡すと意外にもすぐ近くにいて…何かを食べていた。
アキの左側に寄り添い、空の袖にしがみついて、騒がしい二人を見つめる。
「お腹空いたなら、言ってくれればよかったのに…」
白い世界が少しだけ、温かさに包まれた気がした。
「結那、家に帰らなくていいのか?」
「ん…アキも来るなら行くよ。
でも、みんなでは泊まれないから……」
「挨拶だけしに行くか」
冷たい風が頬を突き刺す中、アキがいるだけで全てを彩りに変える。
アキと…みんなと、ここにいたい。