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【チェンソーマン】凍てついた幼心〈早川アキ〉

第7章 夏霞の中の文字


家事を終わらせてお風呂に入り上がると、目の前の扉から話し声が聞こえた。
そんな大きな声で話してるわけではないらしく、内容はわからなかった。
盗み聞きはいけないと思い、急いで服を着る。

リビングに戻ってくると、アキがテーブルで何か書いていた。
そっと近付いて背中に抱きつく。
アキは元々気付いていたらしく、驚くことはなかった。


「どうした?」

「なに書いてるの?」


肩から手元を覗こうとしたが、紙は伏せられ、頬が擦り寄ってくる。
鉛筆を置き、頬に触れて振り向く。
軽く口付けて微笑んだ。


「まだ教えない。
書き終わったら読ませてやる」

「手紙?私に?」

「うん」


鉛筆を片付けて私を抱えたアキは、電気を消して部屋へ行く。
ベッドに優しく降ろされて、服を脱がされた。


「なんで脱がすの?」

「ん〜、結那の肌に触れていたいから?」


後ろに回ったアキが抱き締めてきた。
壊れ物を扱うかのように繊細なのに、確かに力は込められていた。

狂おしいほど愛して…それは一方通行なもので、それでいて…自分で通行止めをかけた。
苦しいな…そう思うことすら、私には資格がない。

アキの首に下げられたそのリングに全てを込めて、答えが欲しいのに、気付かないでと願う。
アキへ、届いていますか?


「結那…もしあの時、銃の悪魔が現れていなかったら…
俺の家族が死んでいなかったら、俺たちは……」


その続きはなかった。
そこまで言っておいて、言葉にしたくなかったのだろう。


「ずっと一緒にいれたのかもね」


"恋人同士だったかもね"

その言葉は二人共言えなかった。


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