第2章 性欲か生欲か愛欲か
シャワーがアキの髪から泡を攫っていく。
重なって離れて…また重なる。
口の中は苦かった。
泡を飲み込んで、お湯を飲み込む。
アキの息も、私の息も…全てを二人で飲み込んだ。
息苦しさも胸の痛みも、何もかも…溶かして固めて、積み重ねていく。
私たちの身体はいつも重かった。
ただ――この瞬間だけは飛んでいけるような気さえする。
あの日求めたのは…アキだけではなかった。
「アキ……アキ…」
一瞬にして火力を上げた炎は、簡単には消えない。
愛しい人の名を呼び、愛しい人に触れられる悦びは、この身体が覚えている。
想いは凍らせたまま、愛を受け取る。
ずるくて卑怯で…そして苦しい。
そんな自分に腹が立って、でも嬉しくて悲しくて…全ての感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、黒く染まる。
「クソッ……拒めよ。
お前の気持ちを無視したくない」
熱くて溶けそうな唇は離れて、その熱を閉じ込めるように、大きな手で塞がれた。
もう大人なのに、欲は止められない。
家族は――キスもセックスもしないの。
倫理も常識も、アキが奪い去った。
アキの手の平を舐めて、胸に添えた手を下に滑らせる。
「声、抑えろよ__」