第2章 性欲か生欲か愛欲か
「アキっ!」
見付けた背中に飛び込み、アキを閉じ込めた腕をぎゅっと掴んだ。
あったかい…生きている。アキはちゃんと生きている。
シャンプーの泡が頬に落ちて、肩に滑る。
濡れたアキの身体から、私の服が水分を奪っていく。
「は?結那?
なんでいるんだ?」
「アキを迎えに来た」
少し上擦った声が落ちてきて、その背中に頬を滑らせた。
心臓は音を変えて鳴り響く。
「怪我してない?痛いとこは?」
「ちょ、一旦離れろ」
固く結んだ腕は解かれ、愛しいその身体は温度だけを残して離れていく。
振り向いたアキが、頬に残った泡を拭うように擦った。
そのまま頬を包んで、首筋に落ちる指。
その指は上着のファスナーに辿り着いて、ゆっくりと下ろしていった。
上着を脱がされ、アキは後ろにいた二人を追い払った。
「後ろ向け」
何をするのか言わぬまま、聞かぬまま…私たちを包む空気が温度を上げていく。
パチンッ…と弾けたのはホックなのか、二人の理性なのか…。
アキは振り向いた私の唇を奪った。
「冷えてる…お前も入れ」
家族なら…一緒にお風呂に入るくらいするよね?
倫理等、アキの前では、意味を持たないただの言葉になってしまう。
何度も押し込めて、これ以上はダメと両手で抑えているのに、その手はアキに奪われた。