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【チェンソーマン】凍てついた幼心〈早川アキ〉

第2章 性欲か生欲か愛欲か


メモに書かれた住所と目の前の扉を交互に見る。


「ここだ…」


空は既に鈍色に燻んでいた。

伸ばした指先がボタンを押し込む。
中から聞こえてきた声に、心臓は暴れ出す。
アキの声じゃない…。


「誰じゃ?」


出迎えたのは――赤い角の生えた女の子だった。


「え、あ…細川、です…」

「知らん」

「え、ちょ……」


扉を閉められてしまった。

住所はここで合ってる。
せめて、アキのことを聞きたかった。

扉を叩きながら声をかける。
すると、また開いた。
さっきの女の子じゃない…男の子だった。


「面のいい女!」


いきなりなんなんだ…面のいいって…悪い気はしないけど。
金の髪が照明に照らされて煌めく。


「あの…早川アキはいますか?」

「あー、風呂入ってるぜ。
血と泥塗れだったからな」


血と泥…今日も戦ってたんだ。
私は怖い。
アキを失うのが、何よりも怖い。

指先から冷えて、背中を雫が伝った。
バクバクと速くなっていく心音が遠くなっていく。
視界が霞んだ。

土足のまま男の子を押し退けて、廊下に跡をつけていく。


「お風呂どこですか」

「あ、そこ」


指差された方向を向くと、浴室の扉があった。
雫が零れる磨りガラスを見て、そのまま扉を開けた。


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