第5章 内側に隠した鈍痛
その日、アキは帰って来なかった。
デンジくんとパワーちゃんはボロボロで帰ってきた。
すぐにお風呂に入れて、綺麗にさせた。
何をしていたんだろう…。
服は裂け、血がたくさんついていた。
その後もアキたちは帰ってきても、ゆっくりする暇もなく、ご飯を食べてお風呂に入り、寝るだけだった。
私は何も知らない。
3人が何をしているのか、何も知らない。
ただわかるのは――アキとデンジくんの目が、真っ直ぐどこかを向いていたことだけ。
家事を終わらせ、先に眠ってしまったアキを見つめる。
少しズレた布団を掛け直し、アキの顔に影を落とす。
「アキ、おやすみ」
僅かに唇を触れさせ、ベッドのスプリングが鳴る。
アキはぐっすり眠っていた。
「……どこにも行かないで__」
その本音は、アキには聞かせられなかった。
アキの進む道を見守ると決めたから。
目頭が熱くなって、視界が歪む。
アキの頬に雫が落ちたのに気付いて、咄嗟に拭った。
「ん……?」
少し声を漏らしたアキだったが、目を開けることはなかった。
ベッドの横で布団に包まる。
最近、一緒には寝ていなかった。
でも、朝起きるといつも、アキの腕の中にいた。
目を閉じて、幼き日々の思い出に想いを馳せる。
アキ、ゆっくり眠ってね。