第5章 内側に隠した鈍痛
病室を開けるとそこには、声を押し殺して涙を流すアキが、真っ白なベッドに座っていた。
大きいはずのアキが何故だか、小さく見えた。
驚いてこちらを見たアキはすぐに顔を逸らし、涙を拭う。
その姿を見て、そっと近付いた。
「アキ」
ただ名前を呼んで、胸に抱き締めた。
髪を撫でながら包み込む。
「結那っ…」
アキの声は少し掠れていて、すごく苦しそうだった。
辛さを吐き出すような息。
袖を握ったアキは、苦しそうに息を詰まらせる。
息をして揺れる度、私の袖に染みを作っていく。
どうして泣いているのかは知らない。
聞かない。
ただ――アキが安心して泣ける場所で在りたい。
「結那…っ…」
「アキ」
名前を呼ばれる度に、柔らかい声で返した。
愛しい人の名前。
「ひ、めの、せんぱい…俺を、助ける為に…っ……」
言葉を詰まらせるアキの髪に口付けた。
何も喋らなくていいよ。
今はただ、泣けばいい。
"「私が死んだ時、泣いて欲しい」"
姫野さん、アキ…泣いてますよ。