第5章 内側に隠した鈍痛
病院に着き、自動ドアが開くのすら待ち切れなくて、開いた隙間に身体を滑り込ませた。
受付でアキの病室の場所を聞くと名前を聞かれた。
答えるとそのままアキの病室の位置を教えてくれた。
僅かな消毒液の匂いが漂う廊下を、力の入った足で踏み締める。
アキ、私…怖いの。
だから…「大丈夫だ」と笑って欲しい。
廊下の角を曲がると、自販機の前で吟味するパワーちゃんがいた。
「お、来たか!」
足を止めることなくパワーちゃんの姿を頭の先からつま先まで目線を滑らせる。
怪我はない。汚れもない。
また前に視線を戻すと、デンジくんがりんごが入った籠を持ちながらこちらに向かってくる。
だがすぐにしゃがみ込んでいた。
デンジくんも、怪我等している様子はなかった。
「あ、今行かねぇ方がいいぞぉ。
あいつの為にもな」
「どうして?」
アキは…そんなに酷い怪我をしてるの?
気まずそうに顔を逸らしたデンジくんを見て、自分の心臓の音が近くなったような気がした。
周りの音は聞こえなくなって、指先から冷えていく。
「アキ……アキに会いたい…」
一筋だけ頬を流れた。
ちゃんと確認するまでは泣かないって決めてたのに…。
「あ……俺、中に漫画忘れたから、取ってきてくんね?」
「うん、取ってくる。
ちょっと待っててね」
頬を拭い、震えた拳を握って、デンジくんを通り過ぎた。