第5章 内側に隠した鈍痛
この日、みんなは帰って来なかった。
アキのベッドでひとりで眠り、朝目覚める。
何も知らないまま、ひとり待つのは、なんだかとても不安で、寂しかった。
朝食を食べて家事をある程度終わらせる。
座って一息つくと、黒電話が鳴った。
慌ててキッチンに向かい、受話器を取る。
「は、早川です…どちら様ですか?」
「細川結那さんですか?
私は、公安対魔特異4課のマキマと申します。
早川くんが負傷して病院にいます。
会いに行かれますか?」
マキマさん?あの"マキマさん"?
すごく淡々とした喋り方なのに、とても優しくて綺麗な声。
マキマさんはすぐには会えないらしく、アキの傍にいてあげて欲しいと言われた。
私のことを知っている。
調べたか何かしたのだろうか。
デンジくんたちに聞いたのかな…って、どうしてマキマさんが連絡してきたのだろう。
よくわからないまま病院の名前を聞き、急いで準備をする。
アキ、大丈夫だよね…?
震える指で靴紐を結び、足早に部屋を飛び出した。