第5章 内側に隠した鈍痛
シャワーを浴び終えたアキが二人を連れてリビングに来る。
二人は目が覚めてくると騒ぎ始めた。
「デンジくん、パワーちゃん。
もう少し声抑えてくれる?
姫野さん寝てるから…」
寝ている姫野さんをちらっと見て、起きていないのを確認して胸を撫で下ろす。
あの人が起きたら、またアキに…考えないようにしよう。
「結那、先輩起こして連れて行くか?」
「ううん。
姫野さん、今日休みなんでしょ?
ゆっくりさせてあげた方がいいんじゃないかな」
「ん、じゃあ頼む。
……昨日はごめん」
アキが何に対して謝っているのかわからなかった。
後ろに立ったアキがお腹に手を回して、背中に密着してくる。
小さい頃から一緒にいても、身体を重ねても、距離が近いと、心臓はうるさいのにふわふわする。
「なんのこと?
…というか、昨日のこと覚えてるの?」
いつもよりも喋らなくて、みんなの前でも平気でキスをしていた。
あんなに酔っていたのに、記憶があるのか…。
アキが酔ってるの、初めて見た。
「全部覚えてる。
酔ってて、姫野先輩からのキス、拒めなかった。
……泣かせた」
アキは全部知ってるんだ。
私の気持ちも、私がどんな思いをしてたのかも…それなのに、アキは何も言わずにこんな風に甘えて、謝って…触れる。
痛くなる胸も、モヤモヤするのも…全部ちゃんと、隠さないと。
アキは私の気持ちに答えるつもりはないのだから。