第4章 燻る何か
そっと私を離して立ち上がったアキ。
煙草を持ってベランダに消えていった。
「ねぇデンジくん。
好きな人はいる?」
「え?あー…マキマさん!」
また、"マキマさん"…。
そんなにすごい人なのかな…美人なのかな…。
パワーちゃんにも聞いてみたが、「ニャーコ」と答えられてしまった。
頭と耳と尻尾の先に色をつけた、白い毛玉。
いつもパワーちゃんと一緒にいる猫。
「デンジくん、マキマさんって…どんな人なの?」
「マキマさん?面がよくて、優しい女!
…そういや、あいつもマキマさん好きだよな。
この前、難癖つけてきやがったから、金玉蹴ってやった」
デンジくんの言葉に息を呑んだ。
そんなとこ、蹴っちゃダメ…。
マキマさん…そうか、綺麗な人なんだね。
アキやデンジくんが惚れちゃうくらい、いい人なんだろう。
「デンジくん、もう蹴っちゃダメだよ…」
デンジくんは空返事をしていた。