第4章 燻る何か
近付いた顔はアキが受け止めた。
触れるだけのキス。
いつからか覚えていないけど、年に一度の逢瀬の度に手を繋いだり、頬に触れたり…私に触れることが小さな頃よりも増えた。
初めてキスをされた日…初めて抱かれたあの日に、それは性的な意味を含むものだったと気付いた。
気持ち等、口にしない。
ただお互いが確かな熱を持って、存在を確かめ合う。
だから、アキの気持ちは知らない。
アキは気付いてる?私の気持ち。
お互い気持ちを言わないことが唯一の逃げ道で、一緒にいる為の、痛み。
「アキ……っ!」
名前を呼ぶと視界は反転し、今度はアキを見上げた。
酷く優しく、酷く悲痛な…あなたの瞳に私が宿っている。
「アキ、教えて。
"あと数年"ってなに?」
「俺の寿命。
あと2年」
淡々と答えるアキの言葉に喉が詰まった。
言葉は出て来なくて、代わりに出てきたのは涙だった。
顬を伝って零れていく雫は、髪を濡らした。
アキの涙は見たことがない。
いや…小さい頃は見たことがあるけど、それは本当に小さい頃の話。
目を細めたアキは、寂しそうな顔をしながら髪を撫で、頬を擦り寄せた。
指は震えていた。