第11章 本物の愛のカタチ※if
その日の夜、夜泣きが終わり、授乳やオムツ替えのサポートをしてくれた看護師さんがいなくなる。
私は赤ちゃんを抱いたままでいた。
もう少しだけ…抱っこしてたい。
赤ちゃんの寝顔を見つめていると、窓を軽く叩いたような音がした。
何かが当たったにしては規則的な音。
ここって何階だっけ…怖くなりながらも立ち上がって、ゆっくりカーテンを開けた。
嘘でしょ、もう…。
窓を開け、少し離れる。
「危ないよ…アキ」
「あまり見られたくなかったから……
その子が…?」
窓から病室に入ったアキは、私の腕にいる赤ちゃんを見つめた。
微笑むと私をベッドに座らせながら抱き締め、耳元で「ありがとう」と囁いた。
耳の後ろで呼吸をするアキの息が震えている。
少し湿った息だった。
「アキ、あのね…名前……」
「ん、なんていうんだ?」
「……サンはどうかなって…」
アキの呼吸が一瞬止まる。
腕が離れて見つめ合った。
アキの頬が光っている。
「タイヨウ…?」
「うん」
アキの弟のタイヨウから名前をもらった。
この子は…太陽のように私たちを照らしてくれる、希望の光。
「最高」
優しく笑ったアキは、そのまま口付けた。
アキの涙はお互いの温度に溶けた。