第11章 本物の愛のカタチ※if
唇が離れると、手を握って微笑むアキに、もう行ってしまうんだ…と寂しくなった。
「待って!
ちょっと待っててね、すぐ戻るから!」
部屋に行き、箱の中から小さな宝石を二つ取り出す。
消毒液とティッシュを持って、玄関に走った。
「ちょっと持っててくれる?」
アキの手の平に二つ乗せて、消毒液をティッシュに染み込ませる。
「ピアス……
これ、姫野先輩に開けられたんだ」
「……
アキさ……姫野さんとしたことあるでしょ」
「え?」
アキは何も答えなかった。
私もそれ以上、何も聞かなかった。
答えが欲しくて聞いたわけじゃない。
アキが"私しか知らない"と言ったことを嘘にしたいわけじゃない。
ただ…なんとなく、姫野さんの話になっただけ。
それだけのこと。
アキのピアスホールを消毒し、持たせたピアスを受け取り、そちらも消毒する。
ゆっくりピアスをホールに刺した。
自分の首に下げていたネックレスを取り、アキの首に回す。
もう、このピアスもネックレスも、私は受け取りたくない。
「アキ…好きだよ」
最後に触れるだけのキスをして、アキの手を握りながら玄関の扉を開けた。
玄関から出ても、手を離せずにいた。
「結那、俺も好き」
手の力を抜くと、ゆっくりと滑るようにアキの手が離れていく。
お腹を撫でながら、"ママを早くパパに会わせて"と心の中で呟いていた。