第11章 本物の愛のカタチ※if
その時、インターホンが鳴って、心臓が跳ねる。
ゆっくりと立ち上がり、玄関へ向かった。
鍵を開けて扉を開ける。
チェーンはつけたままだった。
扉の隙間から風が舞い込んだ。
とても、愛しい香りがした。
外を覗き込むと――黒いスーツを着た人が立っていた。
私のよく知る人。
大切な人。
―――愛しい人。
「あ……え?」
「結那、ただいま」
よく似た人の悪戯…そう思えば、チェーンを外すなんて考えられなかった。
でも私は、チェーンを外して、その胸に飛び込む。
だって…"結那"と私を呼ぶ声が、何度も呼んでくれたあの声なんだ。
抱き締め返してくれる腕は、私がよく知っている腕。
この胸の温かさも、鼓動の心地良さも…手に触れるこの背中も、何もかも…私の愛しいアキ。
「アキっ…アキ……アキぃ…」
「結那……そんな泣くなよ」
何か、幸せな夢でも見ているのだろうか。
死んだはずのアキがここにいる。
"どうして"、なんてどうでもよかった。
零れた涙をそのままに、アキの温度を感じる。
アキの前で泣くこと、あんまりなかったのに…。
どうか、夢ならば醒めないで__。