第11章 本物の愛のカタチ※if
あれから…アキがいなくなってから私は、デンジくんの家にお世話になっていた。
本当はひとりでなんとかしようと思っていた。
アキの遺産は、デンジくんや姫野さんの家族、私に分けられた。
本当はいらないと言ったのだが、アキが遺言を遺していた。
きっと――私ではなく、この子の為。
そしてデンジくんに言っていたらしい。
"もし自分が死んだら、結那を頼む"と…。
アキは死んでも私のことを守ってくれるんだね。
着実に、出産予定日に近付いていく。
父親がいないこの子の為に、どうしたらいいのかわからなかった。
アキが亡くなったばかりで、他の人、なんて考えられない。
"何かあったらすぐ救急車を呼べ"と、重い足を引き摺って家を出たデンジくん。
どうしてみんな、こんな私によくしてくれるんだろう。
「君の周りには、優しい人がいっぱいいるよ」
立ち上がるのも辛いほど大きくなった、アキの子。
もうすぐ会える。
いなくなったアキの代わりに、私と一緒にいてくれる子。
喪失を埋めてくれる、大切な子。
大きなお腹を撫でながら、産まれてくる瞬間を心待ちにしていた。