第10章 未完のラブレター
結那がベランダで初めて俺に触れてくれた日のことを覚えてるか?
俺に跡を付けた日だよ。
俺はあの時始めて、結那の気持ちに気付いた。
それまでずっと結那は幼馴染だから許してくれているんだと思っていた。
でも俺は気付かないフリ、知らないフリを貫いた。
だってもう、結那との未来はないとわかっていたから。
姫野先輩が来た日、トイレで泣いていたこともあったな。
あの瞬間は、気付かないフリをしたまま結那に触れることしか出来なかった。
もしかして、嫌だった?
姫野先輩が遺した煙草を吸って、キスをした日もあったな。
あれは――結那に全てを渡したかったんだ。
姫野先輩からもらったものを、今度は俺から結那に遺したかった。
デンジやパワーと戯れる結那も可愛かった。
俺の静かな日常が、お前らのお陰で――最高な日常になったよ。
結那と一緒に暮らせて、幸せだった。
でも、怖かった。
この日々が壊れることを知ってるから。