Feline Journey( ONE PIECE )
第1章 🐾
酒屋の開店前は静かで、朝の光が床に細長く差し込んでいる。
まずは掃除。
昨夜の賑わいの名残...こぼれた酒の跡、落ちたつまみの欠片を丁寧に拭き取る。
テーブルを整え、椅子を並べ直せば、次に買い出しへ。
市場の喧騒を抜け、新鮮な野菜と肉、酒樽を運ぶ。
重い荷物を軽々と持ち上げられるのは、猫の力のおかげだろうか。
店に戻り、仕込み。
慣れた手つきで体を動かしながら、ふと昔を思い出す。
この街に初めて来た日のこと。
腹を空かせ、行き場もなく、ふらりと駆け込んだのがこの酒屋だった。
住むところも、働くところもなかったの面倒を見てくれたのが、店のマスター。
少し前に体調を崩し、今は休んでいる。
だから、今はひとりで店を回している。
「もう少しで復帰できそうだ」
そう言って、穏やかに笑っていた顔を思い出す。
色んな島を転々と生きてきたが、珍しくこの街に長く留まっている理由は、この人がいるからだ。
時間になり、看板を表へ出す。
「開店でーす」
最初はまばらだった客足も、徐々に増えていく。
地元の常連、観光客、仕事で立ち寄った船乗りたち。
この街の酒屋は、誰にでも居場所をくれる。
「ちゃん、3人いけるかい?」
「狭くていいなら! 椅子ひとつ持ってって、そこ座ってー!」
声を張り上げながらも、どこか楽しそうな自分がいる。
忙しい。けれど、この慌ただしさが嫌いじゃない。
この街の人たちは優しくて、温かくて。
その空気に触れている時間が、は好きだった。