Feline Journey( ONE PIECE )
第1章 🐾
少し酔いが回り、言葉が自然にこぼれる。
「皆さん、いい仲間ですね。私、海賊って怖い人しかいないと思ってました」
「あぁ」
はゆっくりと語り始める。
「昔、海賊に捕われていたことがあるんです」
声は小さく、静かだ。
ゾロの視線が、わずかに動く。
「どのくらいの期間そこにいたかも覚えてないけど…海賊には恨みしかなくて、そんな時に、ある人たちが助けてくれたんです。」
ゾロの手が、グラスを持つ指が、わずかに止まる。
「彼らは別に助けたつもりはないんでしょうけど、私にとっては本当に恩人で……」
はグラスを握りしめ、言葉を続ける。
「だから、どうして海賊なんかになったんだろうって、モヤモヤしてたんです。……でも、麦わら海賊団の皆さんは悪い人じゃないって、そう感じました」
ゾロの瞳が、驚きに揺れる。
一瞬、言葉を失ったように見えた。
は自分のグラスに酒を注ぎ、一気に飲み干す。
喉が熱く、涙がにじむ。
「ゾロさん、あのときはありがとうございました」
静かな声で、はっきりと言う。
「私、あなたのおかげで今自由に生きています」
は急に恥ずかしくなり、顔を赤らめて立ち上がる。
慌ててキッチンへ駆け込み、さっと片付けを済ませる。
「皆さん起きないでしょうし……日が昇る頃にまた来ますね。おやすみなさい!」
酔いが回りすぎて、制御が効かない。
耳が、ぴょんと生えていた。
店を出ると、すぐに小型種の黒猫に変わる。
尾を揺らし、夜の街を駆け抜ける。
心臓が激しく鳴る。
恥ずかしい。
でも、言えてよかった。
ゾロは一人、グラスを握ったまま、動かない。
「猫……?」
ゾロの視線が、が駆け去った扉に向く。
そしてゆっくりと呟く。
「……あのときの猫、か。」
静かに、でも、驚きと確信が混ざった声。
酒瓶が静かにテーブルに置かれる。
は屋根の上を駆けて部屋に帰る。
夜の港に波の音だけが響いていた。